しのだちぃ

元アートディレクターです、独自のイラストを添えて連日更新しております、、

桜とアパートのおばあちゃん、、




近くの樹齢200年ほどの
ソメイヨシノが是見よがしに咲き誇っている、
でも、それも終盤だろう、、
わたしは足を止めて桜に見入る、、
花びらの中心が白から赤に変わっているから、
たぶん今週末は桜吹雪になるだろう、、


この町内は東南アジアから来た
若者たちが住むアパートが多数あるけど、
彼らはこの桜の前で足を止めることはない、、



文化の違いだろうか、
彼らはコンビニやスーパーの勤めが忙しいせいか、
もしくは、桜はさほど興味がないようにも思える、、


近くのアパートに住む一人暮らしのおばあちゃんは、
植え込みの横に置いた椅子に腰をかけ、
「この桜、誰が片づけるのよ!」と呟いて、
わたしの気を引く、、


わたしは、それに応えるように軽く会釈した、、
「あなたに言ったんじゃないの、、
ただね、掃いても掃いてもキリがないのコレ、、
毎年、あたしが片づけなきゃ、誰もやらないのよ、、
あたしは、それが言いたいの!、、」


おばあちゃんは桜の花びらをゴミのようにいう、、
地面に落ちてしまえば、そうも云えるけど、
それでは情緒もへったくれもない、、




おばあちゃんは、
辺りかまわず通りすがりの人に声をかけて
寂しさを紛らわしているように思える、、
わたしはわかる、頷ける、、


あと数年もすれば、わたしも似たり寄ったり、、
おばあちゃんが片づけるのを手伝ってよ、
と云うのであればわたしはそうすると思う、、


でも、おばあちゃんは数日後は
桜吹雪の下で箒を手にして道行く人に
小言を言うのを楽しみにしているように
思えるのだけど、どうだろうか、、


わたしは足早に、その場を去った、
もちろん散った花びらを踏まないように、、





Love Me With All Of Your Heart - Engelbert Humperdinck (played on guitar by Eric)


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