しのだちぃ

元アートディレクターです、独自のイラストを添えて連日更新しております、、

姉の云うことはゼッタイだった、、

これは書籍ではありません、▲わたしの挿絵です、、


母から、あんたは高校にやれない、、
そう云われたのは、わたしが15才の時だった、、
その日はわたしの誕生日だったけど、
とうぜんのように何もないまま終わった、、


それが炭住地に住む、
ご近所のしきたりだったようで、
仲良しのみっちゃんも、
しずちゃんも誕生日が来ても
家で祝うことなど口にすることはなかった、、


わたしは母が高齢で産んだ
兄姉三人から年の離れた子で、父が定年退職して
5年が経過した苦しい時期でもあった、、



それに、わたしは早生まれで、
あんたの偏差値ではみんなに遅れをとるよ、、
と母がわりだった姉の云うことは
わたしには絶対的なものだった、、


わたしは働きながら夜学に通うことにした、、
何もわからないまま大人に混ざり、
頭を小突かながらも仕事を終えると、
わたしはその足で学校に通った、、


でも、毎日気になることがあった、
姉は、わたしに手の荒れと爪の汚いのは最悪だといい、
最低でも、手はきれにして学校に行かなきゃ、、
と姉は給与前のわたしにポーチに入れた
ハンドクリームなどをくれた、、





教室で荒れた手を晒すのが恥ずかしかった、
わたしは机に置いた教科書をボールペンの先で
その都度捲ったりもした、、


夜学を卒業するとわたしは上京した、、
マンガ家のアシスタントを勤め、
その後デザイナーに転向するため
学校に通いながら多くのバイトを重ねた、、


夜中に仕事を終えると、
わたしはガード下の赤提灯を吊るした屋台で
遅い夜食におでんを注文した、、


当時はコンビニなどなく限られた店さえも、
その時間は店を閉めていて、毎夜おでんを口にする、
わたしはしだい苦痛に変わった、、


そのおでんを、今、わたしは食べようとしている、
これはイオンで買った袋詰めで安くて飽きがこない、
食材が高騰しているのに、この味、この値段は
当時とさほど変わらない、ありがたい、、


わたしはどんぶりに入れたおでんの大根を
箸で刺したまま、亡くなった姉を思い浮かべ、
いつまでも口にしないでいる、、





Hey Paula - Paul & Paula (played on guitar by Eric)


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