しのだちぃ

元アートディレクターです、独自のイラストを添えて連日更新しております、、

何で言うのよ、、


これは書籍ではありません、▲ 単なる挿絵です、、



今日、2月25日はわたしの誕生日、
特に何をするでもなく、
ただ、年相応にのんびり寛いでいるようです、
とわたしは他人事のようにここに綴る、、


過去の辛かったことは思いだしたくない、
話せるとすれば、何も知らなかった子供の頃に、
愉しかった思い出がいくつもある、、


多分、5,6歳の頃だったと思う、、
田舎のすごく長い坂道の上に叔父さん
(父の弟)が住む大きな寄棟の家があった、、


家の周りは広い畑がいくつもあって、
花がたくさん咲いて、遠くには竹林もあった、
ここは、わたしが住む長屋の暮らしと
大きく違って見るもの全て珍しく思えた、、




わたしは父の自転車に乗せられて、
その叔父さんの住む田舎の家に何度か遊びに行った、、
納屋には大きな牛がいて、ヤギがいて、ウサギも、
ニワトリもいて、わたしは楽しくて、
陽が暮れるまで従兄弟と庭先を走り回った、、


そして、わたしは帰り際、
父に今度はいつ来るのか何度も訊いたらしい、、
父は少し酔っていた、、
帰りたくないわたしを自転車に乗せて、
父は砂利が敷かれた川べりをふら付きながら、
ゆっくりとペダルを漕いだ、、


砂利にハンドルをとられて思うように進まない、、
そして、父とわたしは自転車もろとも土手下まで
転げ落ちてしまった、、





ケガはなかったようだけど、
わたしは怖くて泣いた、もう自転車にのらない、
とわたしはいつまでも泣いた、、
その時のことを、今でもしっかりと覚えている、、


泣くわたしを、父はまた自転車に乗せると、
乗らずに押して、わたしの知らない町に向かった、
炭鉱の高くて長い煙突の下を通ると長屋があった、、


父はわたしの知らない家の前で自転車を止めた、
わたしを荷台に乗せたまま、父はその家に入っていった、、
しばらくすると、父と小母ちゃんが出てきて、
小母ちゃんは、わたしの頭を撫でると家に入れた、
そして、この家に泊まった、、



わたしは、この小母ちゃんは、
どこか母と似ている気がして親戚なんだと思い、
わたしは父に何も聞かなかった、、


翌日、父は母から昨晩はどこに泊まったのか
訊かれると叔父さんの家だと言ったらしいけど、
わたしは、何も知らないので、
姉に、うん、表札に笹原と書いてあった
小母ちゃん家に泊まったよ、とわたしは言った、、


それからが、狭い家の中は大荒れになったらしいけど、
わたしは小さかったので、それ以降は覚えていない、、
ちぃ、「あんた、その人はコレよ!、、」
と姉は小指を立てて、「その人が父ちゃんの浮気相手よ!
名前を言わなかったら、うやむやにできたのに、、」
と父の肩をもつ姉はそう言って、わたしを何度も小突いた、、


「あんたさぁ、あの年でよく表札が読めたわね!、
でも、名前を言わない方が良かったのに、、」
言わなければ、ああはならなかったみたいだったとか、
それを、わたしは姉が元気だったある日に、
笑いながら、二人であの頃を思い返したりもした、、


真面目で器用で大人しい父が何で?と、
わたしは思ったりしたけど、姉は「母が悪い、」と、
あっさり片づけてしまった、、


よく働いて器用だった父、すごく真面目で無口だった父、、
「お父さんは真面目で、よく働いたよね、」
と言っていた姉はその後事故に遭い、長い病床の末
一昨年亡くなった、、


わたしは要らぬ年が、またひとつ増えたことだし、
亡くなった家族のことを胸に仕舞いこんで、
この先、何ごともなく元気であればそれでいいと思う、、





I STARTED A JOKE - (Keyboard Cover)


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